産後

産後のホルモンバランスの変化

産後ホルモン

出産をおえて、赤ちゃんとの生活が始まると、新しいことや慣れないことも多く、よくわからないけど泣けてきてしまったり、イライラしたり、自分でも感情がコントロールできない、という経験をした方もいらっしゃるのではないでしょうか?

今回は産後のホルモンバランスの変化についてまとめました。

産褥期ってなに?いつのことを指すの?

妊娠や出産によって変化した母体が、再び妊娠前の状態に戻るまでの期間のことを産褥期(さんじょくき)といいます。

分娩後6〜8週までのことを指します。

この時期にはホルモンが急激に変化するため、様々な症状がでることもあります。

産後のホルモンの変化

女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンは、妊娠中に非妊娠時の数百倍まで上昇します。

エストロゲンとプロゲステロンについては以下の記事も参考にしてみてくださいね。

産婦人科でよくいわれる、ホルモンバランスって何? 生理がなかなかこない、生理がきすぎる、排卵しない、更年期症状、月経前症候群(PMS)などで産婦人科を受診したときに、「ホルモンバランス...

エストロゲンとプロゲステロンは妊娠黄体という排卵後の卵巣で産生されていますが、胎盤ができてくると産生場所が胎盤へと移ります

妊娠中、女性ホルモンがどんなことをしてくれているのか、
下の表に書きました。

妊娠を維持することと、分娩の準備、両方に関与しているんですね。

そして、この2つの女性ホルモンは、出産とともに、急激に減少します。

妊娠中に数百倍まで上昇したエストロゲンとプロゲステロンは、
分娩を機に、急激に減少します。
このときに、いわゆる「更年期のような症状」を呈することがあり、
おそらく、この時期のことを「産後のホルモンバランスの乱れ」という
のだと思われます。

一気に減少した女性ホルモンは、6〜8週間かけて、非妊娠時のレベルまで戻っていくと一般的には言われています。

どんなことが起きるのか?

子宮復古と悪露

妊娠・出産によって大きくなった子宮がもとに戻っていくことを「子宮復古」といいます。子宮復古は、後陣痛(あとばら、と呼ばれることも)によって促されます。なので、出産後の子宮収縮はとても大事なんです。

そして、産褥期に子宮から排泄されるもののことを「悪露(おろ)」と呼びます。

1ヶ月検診ではおもに、子宮復古と悪露の様子をみています。
(子宮サイズ、悪露の様子、子宮内に残っているものがないかどうか)

子宮が非妊娠時と同じサイズの鶏卵大になるのは、産後6週ころです。

乳房

妊娠中は、エストロゲンとプロゲステロンが乳汁分泌を抑えてくれていましたが、出産後に急激に減少することで抑制が外れ、乳汁が分泌され始めます。

経産婦さんでは産褥1−2日ごろ、初産婦さんでは産褥2−3日頃から開始されていきます。

おっぱいが出始めると、乳腺炎などのトラブルも起きやすくなってきます。
おっぱいが詰まってしまって起こる「うっ滞性乳腺炎」と
細菌感染を併発する「化膿性乳腺炎」とがあります。

おっぱいトラブルのときは、早めに母乳外来などで相談してもらうといいと思います。

胸の筋肉がいい状態のほうが、おっぱいはよく出ます。
肩こりや背中のコリをケアしてあげるといいですよ。

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体温

妊娠中は体温は少し高めですね。

産褥3日目くらいまでは37〜37.5度くらいですが、
4日目以降は平熱に戻っていきます。

その頃(分娩後〜産褥10日くらいまで)に38度以上の発熱があるは、産褥熱という子宮への感染の可能性もありますので、相談してくださいね。

精神的な変化

産褥期の精神的な変化は、
産褥3〜10日目くらいに発症する「マタニティブルーズ」と
もう少しあとになってから発症しやすい「産褥期精神病」とがあります。

マタニティブルーズは産褥2週くらいで自然に軽快し、症状が消失しますが、それが長引いたりすると、産後うつにも移行することもあるため、
私達も注意はしています。

抑うつ感や不安感、すぐに泣けてしまうといった症状が現れます。

多少の心の乱れは誰にでも起きうるものですが、
長引いたり、周りから見てちょっと症状が強いのではないかと思ったり、
そのような違和感を早めに察知して、早めのケアができたらといつも思います。

とにかく、「まずはじめの産褥1ヶ月をママが楽に過ごすこと」を最優先に、母乳育児のプレッシャーや家事へのプレッシャーを取り除きたいといつも思います。

自治体によってはシッターさんの派遣サービスもあります。
自分の体を休め、リラックスする時間を捻出すること、まずはここからかと思います。

睡眠不足が続くと、自律神経も乱れがちになりますし、心にももちろんよくありません。昼間にも赤ちゃんと一緒に少しお昼寝してくださいともよくお話します。

まとめ

産後のホルモンバランスは、教科書的には産褥6〜8週くらいで非妊娠時に戻ってくると言われています。

体や心への影響も少なからずある時期ですが、
ご自身やご家族が違和感を感じたり、体調が優れないというときは、
早めに病院に相談してくださいね。

その時期をすぎても、「なんだか調子が上がらない」という場合は、
ホルモンバランスのせいではなく、他の原因も考えにいく必要があるかと思います。(長くなったので、また別記事にします)

ABOUT ME
原紗希
原紗希
現役産婦人科医。外来診療では検査や薬の処方だけではなく、患者さん一人ひとりに合わせた多方面からのアドバイスも行う。2児(6歳・2歳)の母。
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