産後

産後の不調、本当にホルモンバランスのせい?

前回、産後のホルモンバランスの変化について書きました。

産後ホルモン
産後のホルモンバランスの変化 出産をおえて、赤ちゃんとの生活が始まると、新しいことや慣れないことも多く、よくわからないけど泣けてきてしまったり、イライラしたり、自分...

産後のホルモンバランスは、産褥6〜8週ころには非妊娠時の状態まで戻ってくるという話でしたね。

ですが、産後いつまで経っても不調から抜け出せず、一体いつまでホルモンバランスが崩れているの?ということもよく聞かれます。

今回は、本当にホルモンバランスのせいなのか、産後の生活から考察していきます。

睡眠不足の体への影響は思ったより大きい

睡眠の重要性については、当サイトでもたくさんの記事があります。

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産後はどうしても夜中のオムツ替えや授乳などで、睡眠不足になりがち。

睡眠不足になると、交感神経が優位な状態になるため、普段なら流せるようなことでもイライラしたり、と思ったら反動で落ち込んだりととにかく自律神経が乱れがちになります。

赤ちゃんのリズムがついてくるまではなかなか難しいかもしれませんが、昼間に少しお昼寝をしたり、ご主人と交代しながら寝かしつけたり、なにかできそうなことはないか、一度考えてみるといいかもしれません。

これは私個人の意見ですが、
母乳育児で夜寝れないことが辛い、という相談も受けます。
母乳育児を病院で勧められて、でも母乳がでないことに本当に悩んで、重度の産後うつを発症して転院してきた患者さんもみてきました。
「母乳育児でないといけない」というのは、極論だと思っています。

母乳にせよミルクにせよ、ゴールは赤ちゃんが元気に育つことだと思うので、
ママの体や心がボロボロになってしまうくらいなら、夜寝るためにミルクを足してもいいと思いますし、ミルクでの育児にかえたっていいと私は思っています。

栄養は足りてる?

妊娠中は鉄欠乏性貧血になりやすいですが、出産のときに出血をして、さらに鉄分は失われます。

出産後の食事で回復してくれればいいのですが、母乳育児だったり、月経が再開したりすると、なかなか十分量までは回復しないこともあります。

鉄不足は、うつ症状や不眠、冷え、便秘などのトラブルの原因となることもあるため、鉄不足に気付かないままでいると、「なんとなく不調」という状態が続くこともしばしばあります。
軽度の貧血の方に鉄補充を行うと、「今までがしんどかったんですね。鉄剤を飲んで初めて気が付きました。」と言われることもあります。

他にも、トリプファンというアミノ酸やビタミンB群、マグネシウムやカルシウムも精神症状と関係が深い栄養素です。

これらの栄養素を補うためにサプリメントを使用するのも一つの手だと思いますが、いくらいいものを食べても体で吸収できなくては意味がありません。

そのために大事になってくるのが、「食事のときに胃酸を出すこと」になってきます。

詳しくはこちらに書いてますので、参考にしてみてください。

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子供と食事をしていると自分のことは後回しになってしまったり、子供の残り物、というママさんもきっと少なくないですよね。

気持ち、とってもわかります。子供と一緒に食べるよりも、キッチンで立って食べたほうがゆっくり食べれたりして、なかなか味わうってできそうでできないですよね。

なので、思い出したときだけで構いませんので、たまに「あーおいしい。」って味わってみてくださいね。

「〜しなきゃ」に追われてない?

「〜しなきゃ」の仲間としては、ほかに「〜すべき」「〜せねば」などがあります。

要は、義務感からでてくる言葉ですね。

この言葉を使っているとき、脳はストレスだと認識しているんです。
要は交感神経を刺激されているような状況です。

  • そろそろ起きなきゃ
  • 朝ごはん作らなきゃ
  • 掃除しなきゃ
  • 買い物いかなきゃ
  • お昼ごはん食べさせなきゃ
  • お昼寝させなきゃ
  • 夕食つくらなきゃ
  • お洗濯しなくちゃ
  • 寝かしつけしなきゃ

「ごはんをつくらなきゃ」と「ごはんを作ろう!」って、同じご飯を作るという行為ではあるんですが、脳で起きていることは全然違うんです。

本当に必要な「〜しなきゃ」なのか、一度確認してみるといいですよ。

私が出産後にしばられていた「〜しなきゃ」「〜すべき」は、

  • 離乳食は絶対に手作りしなきゃ
  • 子供の相手をしなきゃ
  • 乳腺炎になるからケーキは食べないようにしなきゃ
  • 添加物やめなきゃ
  • 小麦粉とらないようにしなきゃ
  • 子供に甘いものは与えないようにしなきゃ

などなど書ききれないほどたくさんあります。
ひとつひとつ、「本当に?本当にそうしなきゃいけないの?」と向き合い、
捨てたものもありますし、自分の中でのバランスのとれる答えをみつけて残したものもあります。白か黒か、ではなくて、グレーゾーンがあってもいいんですよ、ってことです。

案外、自分にとっていらない縛りが多いことに気がつけるかもしれません。まずは気がつくことから、それで十分です。

筋肉が凝り固まったりしていませんか?

筋肉が凝り固まってしまう原因は、普段の姿勢などによる物理的なものと精神的なものに大きく分けられると考えています。

首コリ・肩こりがひどくなると、頭痛やひどいときには吐き気があったり、
背中が固まっていると夜熟睡できなかったりと、とにかく筋肉をいい状態にしておくのは大切なんです。

痛みやつらい症状がある状態では、子供と機嫌よく過ごす余裕もなくなってしまいますから、日常生活の中で負担のかかる行為を少しずつ減らしてもらえるといいなと思います。

物理的な要因

妊娠中はお腹が大きくなり、S字カーブが変化します。
さらに、出産後は授乳に抱っこなど、どうしても姿勢が崩れやすくなります。

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また、スマホを触っているときの姿勢は、首への負担が大きいため、長時間続けて使用するのではなく、触らない時間を作るということも大切かと思います。

精神的な要因

また、上記に書いたような理由(睡眠不足や「〜しなきゃ」)で交感神経優位な状態が多くなると、無意識のうちに体に力が入ってしまっているので、戦闘態勢のまま体が凝り固まりやすくなります。リラックスの反対の状態ですね。

今の世の中は交感神経を優位にする刺激にあふれていますから、自分でも気が付かないうちに自律神経のバランスを崩していることも多々あります。


いわゆる「超常刺激」、過剰になると体や心に悪影響を及ぼすもの、ブルーライトやネットです。

不調なとき、人はだいたい情報を得るために調べる、ということをしますが、
それが逆効果になることがあります。不足感から新たなことを求めるのではなくて、過剰な刺激に気がついて減らすことのほうが効果がある場合もあることを片隅においておいてもらえると嬉しいです。

まずは自分の受けている過剰な刺激に気が付き、それを減らしたりケアをするだけでもバランスが取りやすくなりますよ。

他の疾患の可能性

症状が長引くときや「なんかちょっと違う」という違和感を感じたときは、
やはり他疾患の可能性も念頭に置く必要があります。

他疾患であった場合、よく効く治療法があるかもしれません。

自分やご家族の感じる「ちょっとした違和感」を大切に、早めに相談してみてくださいね。

まとめ

今回は、産後に起こる不調を色々な角度から分析してみました。

ママさんたちから、「本当はこんな怒りたくないのに、すごくイライラしてしまって、寝顔みて泣けてくる。」という話も聞きます。

でも、それって、自分の性格になにか問題があるわけではなくて、
少しのボタンの掛け違い
 ー少し睡眠足りてないかも
 ー食べてるつもりだったけど、タンパク質不足だったかも
 ー肩こりとかの体への負担が蓄積されているかも
 ースマホからのライトや多すぎる情報に混乱してるだけかも
があるだけかもしれないわけです。

であれば、こちらを少し意識してもらうだけで、心が穏やかに、体が楽になるのであれば、そんな嬉しいことはないです。

みなさんの産後ライフの一助になると幸いです。

ABOUT ME
原紗希
原紗希
現役産婦人科医。外来診療では検査や薬の処方だけではなく、患者さん一人ひとりに合わせた多方面からのアドバイスも行う。2児(6歳・2歳)の母。
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