妊娠・出産

腹直筋離開とケア方法

先日Facebook内で、産前産後の理学療法士の近藤先生と一緒に「腹直筋離開」についてお話しました。

腹直筋離開が起きる頻度は?

腹直筋というのはお腹の前面を縦に走る筋肉です。
縦方向に走っているため、妊娠後期にお腹が大きくなってくると、左右の腹直筋の間が開いていってしまうものを腹直筋離開といいます。

腹直筋離開は、データ的には妊娠後期で6割くらいの人に起こると言われています。産後にも残る人は3−4割と言われています。

一応2cm開いたら離開があると言われています。おへそのあたりは、1cmくらいはだいたい開いてます。

何かしら腰痛などのトラブルがある方だと、もう少し頻度は上がっているような印象があると、産前産後の方をケアしている近藤先生は言っていました。

帝王切開のとき

帝王切開のときは、今は横切開を選ぶ方が多いですが、緊急事態やもともと縦切開の傷がある方は縦切開を選択することがあります。

https://mamanoclinic.com/archives/1575

基本的には腹直筋の間を縦に切って、お腹の中に到達します。
横切開の場合も腹直筋の手前までは横ですが、腹直筋からは縦というパターンが多いようにも思いますが、正直手術方法というのは1種類ではないですし、手術中に何が起きるかというのもわかりませんので、その場でできることをして対応するということもあります。

腹直筋を合わせるか合わせないかも、病院やドクターによって違うと思います。

基本的には戻っていく

離開した腹直筋は基本的に戻っていきます。

その腹直筋が戻る自然な流れをサポートしてあげられるような身体の使い方、姿勢が大切になってきますね。

やっぱりここに行き着きますね。

腹直筋が横に引っ張られる力が強くなれば、戻りにくくなっていきますので、そこに意識を向けてもらえるといいかなと思います。

授乳時の姿勢

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上の参照記事内にも書いてありますが、下記の様な姿勢だと、腹直筋が戻るのを妨げてしまうような力が働いてしまいます。

とくにソファに座っているときや授乳中の姿勢というのに一度意識を向けてみてください。

授乳のときの姿勢の一工夫について、こちらの記事が参考になると思います。

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伸びるのに耐えうる腹筋群

お腹に大きい赤ちゃんがいるわけですから、妊娠中お腹の筋肉というのは伸ばされます。伸びるという状況にうまく耐えうる筋肉と、なかなか固くて伸びることが難しい筋肉、ここに違いがあるのか、考察してみました。(ここからは考察も含みますので、その点ご理解ください)

お腹の硬い人は胸郭も硬い?

胸周りの筋肉が硬い方は、どうしても胸郭の動きが制限されがちなので、お腹の方にも必然的に影響がでやすいかなと思います。

文献的にも、息を止めながら「よっこいしょ」と重たいものを持ち上げる動作が多い方というのは、どうしても腹圧がかかりやすい状況となり、腹直筋離開を起こしやすいと言われています。

妊娠初期から腹圧をかけないほうがいいという指導は、腹直筋離開の観点から見ても合っているということですね。

経産婦さんも上の子を抱っこするときなど、息を止めちゃわないように気をつけてみてくださいね。

つわりとも関係があるかも?

つわりがひどい人も胸周りの筋肉が硬いような印象があります。鳩尾のあたりだったり…。

横隔膜の動きが制限されていたり、背中側に空気が入らない場合も、胃の動きとしては落ちるので、つわりがひどくなりやすいのかなという印象があります。

あとは交感神経過緊張タイプの方。
このタイプの方は筋肉も固くなりやすいですし、呼吸も浅くなりがち。どちらかといえば痩せ型でがんばりやさんタイプ。

筋肉の質という観点からみても、色々合致するところがあります。

切迫早産との関係はあるのか?

これも文献でどうと言われていることではないんですが、子宮の増大に伴って腹筋群がうまく伸びていかないと、これもスペースに限界が来るので張りやすくなるだろうということは容易に想像ができます。

妊娠前から身体を整える

コラボ配信をしたり、いろんな勉強をしていると改めて、ここに尽きるなと本当に思います。

妊娠という大きく変化をする時期に、その変化に柔軟に対応できる心と身体を整えておくことは、今後の生活にも大きく影響してくると思いますし、子供の成長にも影響を与えると思うのです。

妊娠中も子育ても楽しい事ばっかりじゃないですよね。楽しいことと同じくらい辛いこともありますよね。

でも、自分が死ぬときに「あーいい人生だったな」って死にたいんですよね、私。ママたちにもそう思ってほしいなと思っています。

毎日5分のケアでも、1回の深呼吸でもいい。
自分の心と身体に意識をむけてもらえると嬉しいです。

ABOUT ME
原紗希
原紗希
産婦人科医。今は海外在住のため、対面診療はしていません。 外来診療では検査や薬の処方だけではなく、患者さん一人ひとりに合わせた栄養面や思考面からのアプローチを行う。病気を治すのではなく、人の持つ本来の力を発揮する状態を整える。
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