その他の女性のお悩み

新型コロナウィルス重症化とビタミンD欠乏の関連

新型コロナウィルスの重症化はビタミンD欠乏と関連がある?

新型コロナウィルスに関して、様々な国で様々な研究が行われていますが、最近「新型コロナウィルスの重症化はビタミンD欠乏と関係がある可能性がある」との論文が(査読前ではありますが)出てきています。

ビタミンDの働きって?

ビタミンDには2種類あります。植物由来のD2と動物由来のD3です。
よく知られているのは、骨を強くする働きだと思います。

骨粗鬆症やクル病、骨軟化症を防ぐ効果があります。

また、免疫ともとても関係がある栄養素と言われています。

免疫を調節する作用やマクロファージなどの免疫に関わる細胞の活動を促し、
NK細胞(笑うと増えると言われている)の活性を高める作用がわかっています。

他には、様々なガンや糖尿病、自閉症、花粉症などとの関連も研究されているスーパー栄養素なのです。

ビタミンDと感染症との関連は?

ビタミンDと感染症との関連を示す研究結果はいくつかありますが、そのうちの一つを示します。

・期間は2008年12月~2009年3月

・対象:12施設 6~15歳の子供334人

・半数に30μg(1,200IU)のビタミンD3入りカプセルを、
 残りの半数にプラセボを毎日与えた。

・ビタミンD3入りグループの方がインフルエンザ発症率が低かった。

Am J Clin Nutr 2010;91:1255-1260

他には上気道感染症の発症率との関連や、人工呼吸器が外れるまでの期間とも関連があったとする論文もあります。

その一方、ビタミンD補給に関しては、逆に効果がなかったということを示している論文もあります。


ビタミンD補給が大切というよりも、ビタミンDを体内に適切な量保っておくことが大切なのではないか、と考えます。

ビタミンDと新型コロナウィルスの研究結果は?

最近発表された、新型コロナウィルスの重症化とビタミンD血中濃度との関係性を示唆した論文はこちら。

・対象となったのは212例

・軽症、中等症、重症、重篤の4つのアウトカムにつき、ビタミンD血中濃度
 を測定し、比較した。

・軽症31.2ng/ml 中等症27.4ng/ml 重症21.2ng/ml 重篤17.1ng/ml
 であり、有意差を認めた(p<0.001)

・ビタミンD血中濃度ごとに、アウトカムを比較した。

・ビタミンD濃度が正常(>30ng/ml) な人は軽症が85.5%だったのに対し、
 不足(21−29ng/ml)の人は中等症が43.8%、重症28.8%、重篤26.3%、
 欠乏(<20ng/ml)の人は重症40.7%、重篤32.5%であり、有意差を認めた(p<0.001)

Alipio, Mark, Vitamin D Supplementation Could Possibly Improve Clinical Outcomes of Patients Infected with Coronavirus-2019 (COVID-19) (April 9, 2020). Available at SSRN: https://ssrn.com/abstract=3571484 or http://dx.doi.org/10.2139/ssrn.3571484

ルイジアナ州立大学の研究チームからも、ビタミンD血中濃度と新型コロナウィルスの重症化との関連が示唆される結果が発表されています。


もう一つ、ノースウェスタン大学の研究チームからの発表がこちら。

・中国、韓国、フランス、ドイツ、イタリア、イラン、スペイン、スイス、イギリス、アメリカの10カ国の患者データを分析

・致死率の高い国の患者は、そうでない国の患者に比べてビタミンDの数値が低いことがわかった。

・ビタミンD血中濃度とサイトカインストームとの間に相関関係があることがわかった。

The Possible Role of Vitamin D in Suppressing Cytokine Storm and Associated Mortality in COVID-19 Patients
Ali Daneshkhah, Vasundhara Agrawal, Adam Eshein, Hariharan Subramanian, Hemant Kumar Roy, Vadim Backman

サイトカインストームというのは、免疫の過剰暴走のような状態のことです。

ビタミンDは体内で作ることができる!

ビタミンDを含む食材

ビタミンDは食事による摂取と皮膚での合成と2つのルートがあります。

ビタミンDを多く含む食材は
魚類  サケ サンマ イワシ ブリ サバなど
きのこ類  きくらげ 舞茸など
その他  卵黄 バターなど
が挙げられます。

ビタミンDを体内で合成するには紫外線が必要

ビタミンDは皮膚で合成することもできます。

そのためには紫外線UVBは必要です。
家の窓や車の窓はUVBはを通さないため、「日当たりの良い窓際で仕事しています」という場合には、効果的なビタミンD合成はできていないでしょう。

患者さんにも、「ランチタイムはできれば外で気分転換してね。」とお話することがありますが、それは直接日光にあたることに意味があるからです。

どのくらい日に当たればいいの?

皮膚でのビタミンD合成能力は、いろんな条件で変わっています。

まずは季節。
夏のほうが冬に比べると必要なビタミンDを合成するまでの時間は短いです。

それから、地域。
高緯度の地域の方が、同等のビタミンDを合成するまでにより時間が必要です。

あとは皮膚の色。
日本人を始めとした有色人種のほうが、白色人種よりもビタミンDは合成しにくいと言われています。

国立環境研究所がだしたデータでは

・両手と顔を晴天の日に太陽光に露出したと仮定し、5.5μgすべてのビタミンDを体内で合成するのに必要な日光浴の時間を札幌、つくば、那覇の3地点で測定

・7月の正午  那覇2.9分 つくば3.5分 札幌4.6分

・12月の正午  那覇8分 つくば22分 札幌76分

いろんな文献をよむと、1日5.5μg(220IU)では少ないような印象ですが、
多ければいい、というものでもなさそうです。
(ちなみに日焼け止めを使うと、皮膚でのビタミンD合成は5%以下まで低下してしまうようです。)

耐容上限量は1日100μg(4000IU)と言われていますが、
過剰摂取の場合は、高カルシウム血症の報告もありますので、
サプリメントなどを使用する場合は、注意が必要です。

日光浴による皮膚での合成の場合、必要以上のビタミンDは合成されませんので、食事での摂取と日光浴による合成、両方をうまく組み合わせるといいと思います。

紫外線は浴びすぎると、皮膚がんなどのリスクもありますので、
ある程度日光浴をしたら日焼け止めをつかうなど、バランスが大切ですね。

まとめ

一つの可能性として、新型コロナウィルスの重症化にビタミンD欠乏が関係している可能性のある論文がいくつか出てきています。

これは、ビタミンDのサプリメントを推奨するものではなく
(実際、過剰摂取に注意する必要があり、適正な濃度はまだ検証する必要があると言っている研究者の方もいます。)
ただ、自分の免疫システムが正常に作動するための栄養素を知り、適量保っておくことは、とても大事なことだと考えています。
(ビタミンDの活性化に必要なマグネシウム、免疫に大きく関わる亜鉛なども重要な栄養素だと注目しています。)

特にビタミンDは体内で合成できるものなので、太陽に当たるというとてもシンプルで簡単な方法を使わない手はないと思います。

日焼け止めを塗る前の数分でもいいので、窓越しではなく、直接の日光浴をおすすめします。

ABOUT ME
原紗希
原紗希
産婦人科医。今は海外在住のため、対面診療はしていません。 外来診療では検査や薬の処方だけではなく、患者さん一人ひとりに合わせた栄養面や思考面からのアプローチを行う。病気を治すのではなく、人の持つ本来の力を発揮する状態を整える。
免責事項

当サイトにコンテンツを掲載するにあたり、内容には細心の注意を払っておりますが、必ずしも正確性を保証するものではありません。
また、当サイトの全ての情報は診断・治療行為ではありません。
診断・治療を必要としている方は、すみやかに医師・各専門家に相談してください。
本サイト上の情報利用に関して発生した損害などに関しては、一切責任を負いかねます。