前回に引き続き、またまた胃酸のお話です。
妊婦さんはもちろん、妊活中の方も、産後の方も、更年期の方も、
みなさんにとって重要なことなので、もうしばらくお付き合いください。
胃酸のでる仕組みと働き
胃酸の出る仕組みを簡単に説明すると、
ご飯による五感への刺激で、脳が食事だと認識する
⇒迷走神経刺激により、胃酸の分泌が促進される
実際に胃の中へ食べ物が入ってくる
⇒その刺激で、胃酸分泌が促進される
十二指腸に食べ物が移動する
⇒胃酸分泌は抑制される
すごくざっくりですが、上記の流れです。
このときに大切なのは、食事のときに胃酸を十分にだして、胃内のpHをしっかり酸性にすることです。
胃酸がしっかり分泌されず、胃内のpHがしっかりと酸性にならないと
- タンパク質の吸収が低下
- 鉄、亜鉛、マグネシウムをはじめとしたミネラルの吸収が低下
- ビタミンB12や葉酸などビタミン類の吸収が低下
などがおきてくる可能性があります。
逆流性食道炎は本当に胃酸が多いの?
「胃酸があがってきて、食道のあたりがムカムカする…」
そんなときに、胃酸の分泌を抑える薬を出されることがあります。
全員が全員、胃酸が多いわけではないでしょうから、
食事のときに胃酸分泌が十分ではない人が、さらに胃酸を抑える薬を内服してしまったら、調子がさらに悪くなる、ということも起きてくると考えています。
ではなぜ、胃酸が少ないのに逆流性食道炎のような症状がでるのか。。。
- 胃酸が十分にでないことで、小腸で悪玉菌が繁殖してしまい(小腸細菌異常増殖:SIBO)、ガスを発生させ、そのガスにより押し上げられて逆流性食道炎の症状がでている
- 自律神経のバランスが崩れてしまっている
- 背中や横隔膜が凝り固まっている
- 他の疾患の可能性
バラバラに書いてみましたが、上3つは全部つながっていますよね。
SIBOという比較的新しい概念の病気があります。
過敏性腸炎として診断されていた方のうち、実はSIBOだったという方は少なくないのではないか、という報告もあります。
といっても、SIBOはまだ専門家も少なく、検査や治療ができる病院もかなり限られているのが現状です。
自宅でできる胃酸のチェック方法
こんなに胃酸胃酸と言われると、
自分は胃酸が食事のときに出ているのか、出ていないのか、気になりませんか??
今日は自宅で簡単にできるチェック方法を紹介します。
用意するもの:水 レモン果汁
方法:レモン果汁(100%)スプーン1杯を水で3倍に薄めます。
(レモン水)
食事のときに、「レモン水1口飲む⇒食事を1口食べる」を
レモン水がなくなるまで交互に続ける。
判定:食後2−3時間経過後
いつもより空腹を感じたりスッキリしている
⇒胃酸が十分にでていない可能性があります。
どうですか?簡単なので、ぜひやってみてください。
自分の体調によっても変わってくるので、あくまでも参考程度にしてくださいね。
まとめ
胃酸というのは、タンパク質だけではなく、あらゆるビタミンやミネラルにとっても、大切な役割を果たしています。
なぜ、産婦人科医である私がこだわるかというと、女性たちにとって重要な鉄吸収にも大きく関わっているからです。妊婦さんにとって重要と認知されている葉酸吸収とも関係が深いです。
鉄欠乏は月経があるうちはどうしてもついてまわるものですので、
効率よく必要な栄養を吸収できる体にしていきましょう。

