妊娠、出産、産後と
骨盤にとっては負担が増えます。
そんな時に頼りになるのが骨盤ベルト。
痛みや不調が出る前に、あらかじめ用意しておきましょう。
今回は、一般的な使い方を3パターン紹介します。
昔の女性は強かった?
今の女性は、昔に比べて
下半身や骨盤の筋力が低下しています。
昔は、畑仕事や家事全般を手作業で行い
とにかく動いていたため
骨盤を支える筋肉や靭帯が丈夫でした。
とはいえ、妊娠5か月目の戌の日には、
安産祈願の腹帯をつける習わしがあるように
昔から、腹帯を活用する文化が日本にはあります。

わたしは、子どもが3人いますが
幸運なことに、全員自然分娩(畳の部屋で、医学的な処置はなるべくしない)で産むことができました。
自然分娩するためには
下半身や骨盤内の筋力が欠かせないので
妊娠中にかなり運動をやりました。
この話は機会があったら紹介します(^^)
臨月には胎児の重さは約3キロ
胎盤の重さは約5キロ
合計8キロの重さが骨盤と下半身にかかるため
弱い筋力では支えきれず
骨盤がゆるみやすくなっています。
筋力の低下からの骨盤のゆるみは、お産の現場でも問題になっているそうです。
女性が農作業などで一日中体を動かしていたころは、靭帯が強いために出産の時にも容易には骨盤が緩まなかった。だから、安産のためには腰がどっしり広いことが大切な条件とされていたんです。
引用 ゆがみを解消!骨盤メンテ 渡部信子著 日経BP社 2007年
ところが今は妊娠初期から靭帯が緩んで骨盤が広がって、臨月にならないうちから子宮や胎盤が下がってきて切迫早産を起こす頻度が高くなり、お産の現場で問題になっています。
骨盤の細かい歪みなどについては
人によってかなり違いがあるため
今回は説明を控えますが
一般的な妊娠中の骨盤ベルトの使い方について紹介します。
骨盤ベルトは何を使ったらいいの?
昔は綿のさらしが一般的でした
さらしは、伸びないので骨盤を安定させたり
保温や保護にも使えて便利です。
しかし、巻き方にコツがいるのと
夏場は重ねると暑いため、
今では一般的ではないかもしれません。
妊娠初期~中期
寒い時期なら、体を冷やさないために
保温、保護する腹巻きやパンツタイプのものを選びましょう。

中期(つわりが終わるころ)からお腹が大きくなってきたら
腹巻タイプ、パンツタイプで保護しつつ、
しっかりした骨盤ベルトで骨盤を支えましょう。

骨盤は赤ちゃんの器
下部が締まっている洗面器のような状態が望ましいと言われています。

- 腸骨 骨盤の一番大きな骨。
- 仙骨 腰側の骨。おしりの線から少し上がったところにある三角の骨。
- 坐骨 座った時に座面に当たる骨
- 恥骨・恥骨結合 前側。妊娠中に緩みやすい結合。
- 仙腸関節 腸骨と仙骨の合わさるところ。ここも妊娠中に緩みやすい。
- 産道。赤ちゃんがはまるところ
恥骨結合と仙腸関節は骨をつないでいる靭帯があり
妊娠中はゆるみやすいのです。
妊娠していてもお仕事を続けている方も多いですから
痛みが出る前でも予防の意味で使った方がいいでしょう。
骨盤ベルトは何がいいの?
幅が広すぎても蒸れやすいし、ずれやすいので
幅7~10センチくらいの
妊婦さん用のものを選びましょう。
ベルトを締める位置は?
「腰」の位置で巻きたくなりますが
実は、もっと下、骨盤の「底」の部分でしめます。

恥骨と太ももの骨の出ているところ(大転子)を結び
お尻の下側を包み込む位置です。
お尻の一番太いところになります。

骨盤ベルトを巻いてみましょう!
ベルトを締める前に
軽く、部屋の中を歩きます。
ベルトを締めた時に腰や足が楽になるか確かめるためです。
巻く前に準備
- 膝立ちで膝をそろえる (骨盤の歪みが軽減する)
- お尻をキュッと締める
- 大きく息を吸い、胸をふくらませた状態でベルトを巻く

巻く強さは?
お尻を引き締めてから、軽く巻きます。
きつく巻くと、かえってうっ血するので
緩いくらいで大丈夫です。
一日つけていれらるくらいの緩さにしましょう。
恥骨(前側)が痛い場合は
恥骨結合が開いているので
お尻側からベルトを回し、
恥骨の高さで前側で止めます。
痛みがない、または腰痛(後ろ側)がある場合
この場合は、2種類紹介します。
恥骨のところ、前側で止める場合と
お尻側、後ろ側で止める場合です。

最近のベルトは締めやすいように工夫されているので
ベルトの説明に従ってもいいです。
ただ、もともとの筋肉のつき方や歪みの具合で
前側がゆるみやすいか
後ろ側がゆるみやすいか
人によって違います。
その日の体の状態でも違います。
前で止める
後ろで止める
をやってみて、部屋の中を軽く歩いて
お尻や腰が楽になる方にしましょう。
反り腰がきつい腰痛の人は
お腹が大きく張り出した人は
お腹の重みで下に引っ張られて
反り腰が強くなってしまうこともあります。
そういう場合は、床に寝ながらの方がつけやすいでしょう。
- 仰向けに寝て、膝を立てます
- お尻の下部に、たたんだタオルなどをいれて(赤矢印)反り腰を軽減させます。
(腰と床のスキマを作らないように) - お尻の下部にベルトを入れ、息を吸いながら
お腹をすくいあげるようにイメージして恥骨の位置で止めます

ベルトを外すときは
寝る時は外しましょう。
外すときも、
急がず、ゆっくりと外しましょう。
腰痛や恥骨痛があるときは、
上の絵のように、寝てから外すようにしましょう。
※寝ているときや、骨盤ベルトをつけていても
恥骨や腰痛がある場合は
主治医の先生や助産師さんに相談してください。
産後のベルトは?
産後の体は大仕事を終えて疲れ切っています。
恥骨結合と仙腸関節はまだゆるく、
骨盤周りの筋肉も疲れているので、
立つことも辛い人もいるでしょう。
骨盤ベルトは、妊娠中と同じ位置に、ゆるく巻きましょう。
立つときにサポートしてくれます。
子宮は6週間かけてもとに戻ります。
骨盤のゆるみも、3か月から6か月かけて
ゆっくり戻ると言われています。
しかも、授乳のために
お母さんの血液を消費するので、
貧血になったり
疲れやすいので
無理はできません。
産後直後~2か月は体を回復させるために
なるべく横に、寝ていましょう。
産後に骨盤が戻らないってどういうこと?
産後直後~3か月は、
妊娠中と同じように巻いて、骨盤を安定させましょう。
産後、骨盤が戻らなくなってしまった
というのは、
産前産後の「座り方」に問題があります。
骨盤ベルトで恥骨を安定させ
座り方を気をつけていれば
自然と元の状態に戻ります。
ガードルなどでぎゅうぎゅうに締めてはいけません。
骨盤内の血流が悪くなり
かえって下半身がむくみやすくなります。
運動はいつから始めてOK?
妊娠中に、
歩く、スクワット、階段昇降など
骨盤周りの筋肉を動かしていた人の方が
産後の戻りもいいでしょう。
このような運動は、妊娠中も、産後も骨盤ベルトをつけながら行いましょう。
下半身のむくみを予防するためにも
産後3か月すぎた頃から
家の中でできる軽い運動
歩く、足踏み、つま先立ち、ストレッチなどから始めて行きましょう。
参考文献 ゆがみを解消!骨盤メンテ 渡部信子著 日経BP社 2007年
次回は、骨盤ベルトと合わせて使いたい!肩こりも楽になるあるアイテムを紹介します。
理学療法士の近藤さんの記事もぜひどうぞ(^^)

